貝輪づくり体験 in 東北![]() |
市原市では、親子で楽しめる体験講座としてベンケイガイを使った「貝輪づくり」を、10年ほど前から継続的におこなっています。貝輪素材の貝拾いから体験できる恒例の「夏休み鴨川ツアー」も今年の夏で9回目を迎えます。まさに「貝輪づくり」講座の老舗と思っています。こうした活動は市内だけにとどまらず、これまでに千葉県内の市町村はもとより、神奈川・東京・茨城・山梨・愛知・宮崎など、講師の派遣や講座の仕方についてのアドバイスなど、支援活動もおこなっています。 |
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去る3月14日(土)、ついに房総の貝輪づくりを東北地方へも伝えてきました。 会場は、宮城県東松島市にある「奧松島縄文村歴史資料館」。 縄文時代各時期の貝塚が宮戸島のあちこちにあることで有名な「里浜貝塚」を擁する史跡公園内の資料館です。 ここでは、火おこし・勾玉づくり・土器づくり・土製アクセサリーづくり・アンギン編みなど定番の体験講座のほか、釣り針づくり&釣り体験・カキ養殖・潮干狩り・貝紫染め・塩づくり・ウニなどを採って食べる「縄文グルメを食そう」などという、周りを海で囲まれた島ならではの楽しい企画を年中おこなっています。 そして、こういった体験講座の一つとして、「アカガイ」を使った貝輪づくりが毎年おこなわれています。 |
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里浜貝塚の発掘調査では、ある地点から「アカガイ」製の貝輪がたくさんみつかっています。 数にして1,000点以上もあり、これらには完成品のほか、未加工の貝や未製品、製作残骸などが多量に含まれています。 また、鹿角製のハンマーや砂岩製の砥石などもみつかりました。 里浜ムラでは、縄文時代後期の終わりごろにアカガイの貝輪づくりがさかんにおこなわれていたのです。 調査研究の結果、仙台湾周辺の幾つかの遺跡からは完成品が多数みつかっており、里浜ブランドの貝輪が付近に運ばれていたことがわかりました。 実は、アカガイという貝は、内湾の深い場所にすむため、アサリを採るような感覚で生きた貝を採ることはできませんし、波静かな湾内では死んだ貝が打ち上がることも滅多にありません。 したがって、貝輪の素材としては極めて入手が難しかったはずで、縄文時代にはあまりこの貝輪は使われていません。 ですから里浜貝塚でおこなわれた貝輪生産は特異なケースで、今のところ「日本で唯一」の事例です。 それにしても、「里浜ムラの人たちは、どうやってこの貝を手に入れたのか」、この謎はまだ解明されていません。 |
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縄文時代後期、東海地方から北海道まで東日本全域に大流行したのは「ベンケイガイ」製の貝輪です。 |
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| 西広貝塚出土のベンケイガイ製貝輪 | |
| 愛知・千葉・秋田・北海道などには、貝輪づくりを専門にしていたムラも現れます(図1・右)。こうした貝輪づくりのムラ近くには、ベンケイガイを多量に打ち上げる海岸が今でもみられます(図1・左)。 | |
| 図1 | |
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| こういった場所は、暖流である黒潮や対馬海流の影響が強く、暖かい海水を好むベンケイガイが沖にたくさん生息しているとみられます。 ところが、その分布をみると、東北地方の岩手・宮城・福島にはベンケイガイが地元の海に生息しないことがわかります。 貝輪を専門に作っていたムラからは、近くのムラから隣のムラへと、製品が伝わり徐々に広範囲に広まったものと考えられますが、里浜貝塚のある仙台湾周辺地域は、どこからも同じように遠い位置にあるのです。 「世間では大流行しているはずのベンケイガイの貝輪がなかなか届かない」、そんな不満に答えるべく登場したのが「アカガイの貝輪」だったのかもしれません。 里浜でつくられた貝輪をよく調べてみると、仕上げの段階で貝の外側を敲いたり・磨いたりして小さくし、さらに表面を徹底的に磨いています。 アカガイは、貝殻の大きさが10cmを超すことも珍しくない貝で、また生きた貝の表面には黒っぽい毛のようなものがびっしり付き、特に「放射肋」と呼ばれる畝と畝の間の溝に付いたものは、擦ってもなかなかとれません(図2・左)。 |
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| 図2 | |
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| アカガイの貝輪(復元品) | 貝輪装着の状態 上:アカガイ 下:ベンケイガイ |
| 黒っぽく大きな貝では見栄えも悪いので、少しでも「ベンケイガイ風」にしようと涙ぐましい努力をしていたのかもしれません(図2・右)。 | |
奧松島縄文村歴史資料館では、この調査成果を体験学習教材として採り入れ、「日本で唯一のアカガイ製貝輪づくり」を数年前からおこなっています。今回は、アカガイの貝輪を知る地元で、本場房総のベンケイガイ製貝輪づくりを体験してもらおうという企画でした。「地元には無い貴重な貝」、「アカガイとは違う色・艶・丈夫さ・フィット感をもつ貝」、参加してくれた方たちにはベンケイガイ貝輪の魅力が十分に伝わったようでした(奧松島縄文村歴史資料館公式サイト内・イベント報告)。 今後もどんどん各地に「貝輪づくりの輪」を広げていこうと思っています。 |
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奧松島縄文歴史資料館では、3月13日(土)より、第44回企画展がおこなわれています(奧松島縄文村歴史資料館公式サイト)。 テーマはずばり「縄文人のあこがれ 貝のアクセサリー」。 青森・秋田・岩手・宮城と東北各地の遺跡からみつかった貝アクセサリーと関連遺物が多数展示されています。 この中には、市原市西広貝塚など房総のムラから運ばれたと思われる南房総のタカラガイで作られたペンダントなどがたくさんあります(詳しくはこちら)。 「房総から東北へ何が運ばれ、どのように扱われたのか」を知ることができる素晴らしい企画展です。 |
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