養老川の比較的上流に近い河岸段丘上にあります。発掘調査によって、古墳時代前期から中期にかけての住居跡と墳墓が発見されました。住居跡は墳墓群から離れた東側にあり、ムラはこの方向に展開していたのでしょう。墳墓よりやや古いようで、墓域成立直前の集落と考えられています。墳墓群は円形周溝墓1基(外法の長軸径16.85m)、方形周溝墓7基、甕棺墓1基、合計9基と小規模ですが、バラエティーに富みます。
養老川中流域までは比較的大規模な古墳群が見られますが、この地域は小規模になり、遺跡の分布もまばらです。養老川水面と段丘面との比高差が大きく、川水による灌漑を可能としたのは近世以降であり、古代における耕地開発は著しく制限されたと考えられます。本古墳群が小規模なのも、地理的な要因により生産基盤が拡大できなかったためと思われます。
『皿郷田茂遺跡』 市原市教育委員会 1984年
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