電脳展示室
馬具(ばぐ)
出土地:金環塚古墳(きんかんづかこふん)
遺跡所在地:江子田(えこだ)
遺構:前方後円墳木棺痕内
時代:古墳時代後期前半

解説:轡(くつわ)や、面繋(おもがい)・尻繋(しりがい)を構成する金具がひと揃い出土しました。
 轡は、馬の口にかませる銜(はみ)1個、銜と手綱(たづな)をつなぐ引手(ひって)2個、および銜と面繋をつなぐf字形鏡板(かがみいた)2個で1組になります。面繋の金具には、革帯の交差部を飾った辻金具(つじかなぐ)6組分と絞具(かこ:バックル)2個があります。尻繋には、革帯連結部の金具である雲珠(うず)1個と辻金具2個、垂飾りである鐘形杏葉(ぎょうよう)5個があります。
 このうち鏡板・辻金具・雲珠は、鉄地に銅の薄板をかぶせ鍍金(ときん:金メッキ)し、さらに縁などに打たれた鋲の頭や脚の付け根の責金具(せめかなぐ)には銀の薄板をかぶせるなど、表面が金銀に光り輝く豪華なつくりです。なかでも尻繋の辻金具・雲珠は、半球状の本体表面に珠文・内行花文・木葉状文(蓮華文)を同心円状にめぐらせた文様が刻まれ、工芸的にも特に優れたものです。
 ここで紹介した馬具は、高度な鍛冶金工技術を駆使した儀仗的なものです。中央の工房で造られ、当地にもたらされたものと言えそうです。
 同時に出土した玉類や純金製の耳環とともに、県の有形文化財に指定されています。
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