遺跡ファイル

縄文時代後期〜晩期 石神台遺跡 いしがみだい

主要な遺物の実測図

左4点:竪穴住居跡出土の土器 右上:クジラ化石骨 右中:土偶 右下:ヒスイ製勾玉 

出土した主な遺物 ((財)千葉県教育振興財団2005より)

 遺跡は養老川上流域の標高110mほどの丘陵上に位置します。周辺は深い谷と尾根による起伏に富んだ地形になっており、尾根上に点在する狭い平坦地に遺跡が立地します。県道の改良工事に伴い、平成13年(2001)・14年(2002)に(財)千葉県文化財センターによる発掘調査が行われ、縄文時代後期から晩期前葉にかけての集落跡が見つかりました。
 遺構には、竪穴住居跡3軒、溝跡2条、土坑6基などがあります。竪穴住居跡は後期後半が1軒、後期末〜晩期初頭が2軒検出され、丘陵上の最も高い位置に分布します。溝跡は後期前葉が1条、後期後葉〜晩期前葉が1条検出され、覆土中からおびただしい量の土器が出土しています。2条の溝は並行に延びることから、同じ機能を持っていたことが考えられますが、養老川や谷の湧水地点に向かう道路としての役割であった可能性が指摘されています。
 遺物には、石鏃石斧、多量に出土した土器などの生産用具、玉や耳飾りなどの装身具、土偶石剣石棒などの祭祀用具があります。また、特徴的な遺物にクジラの化石骨を利用した研磨具があり、遺跡周辺に露呈する万田野層と呼ばれる砂礫層から採取したものを利用したようです。
 蛍光X線分析による原産地推定が行われた黒曜石は、中期後葉はすべて信州産で、後期前葉以降は伊豆諸島の神津島産が主体となることがわかりました。また、東北系・関西系の土器やヒスイ製の勾玉が出土することから、房総丘陵最奥部の尾根上に位置するこの地が、広範囲な交易圏の中継点となっていたことが明らかになりました。

『市原市石神台遺跡』(財)千葉県文化財センター 2005年